2018.09.25徳川家康ゆかりのお宝が集う! 町屋光明寺「本願寺・寺宝展」
2018年春、徳川家康公ゆかりの貴重な品々が東京・町屋光明寺で特別公開されました。
慶長7年(1602年)、後継争いに敗れて本願寺 を去った教如上人に対し、徳川家康は現在の東本願寺がある烏丸六条の土地(西本願寺の真東 に位置)を寄進しました。そこから、徳川家と 東本願寺の深い関わりが始まりました。
関ケ原合戦の前夜、小山に在陣中の家康公を訪ねた教如上人が、餞別の品として拝領した「葵御紋付團扇(あおいごもんつきうちわ)」「椶櫚蒔絵鞍(しゅろまきえくら)」は、なんと関東初公開となる寺宝です。
▲葵御紋付團扇(あおいごもんつきうちわ)
▲椶櫚蒔絵鞍(しゅろまきえくら)
この度、家康公ゆかりの品々を集めた「本願寺・寺宝展」を開催された背景を、町屋光明寺 の大洞(おおほら)住職に伺いました。
「当寺の東京御廟本館落慶を機に、東本願寺より家康公ゆかりの品々を、京都の本山からお借りして特別展示公開できることになりました。普段は見られないものをご覧いただき、歴史を感じていただければと考えております」(大洞 住職)
展示の中でもひときわ目を引いたのがこちら、「日課名号(にっかみょうごう)」。
▲日課名号(にっかみょうごう)
家康公は「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」 と書写することを日課としていたのですが、この中には一つだけ「南無阿弥家康」と書かれた 箇所があるのです。なんともお茶目で人間くさく、歴史上の人物がぐっと身近に感じられました。
教科書でおなじみの徳川家康公の肖像画も。こちらは教如上人の外孫、公海大僧正により描かれました。
「来館者は歴史好きのご年配の方を中心に、お子様連れのご家族も多かったです。学校の授業 内容と照らし合わせて寺宝をご覧になられていました。中には、群馬県から3時間かけて来られたというご家族も。武将好きのお子様が、SNS の口コミを見たのがきっかけだそうです」(大洞住職)
通常であれば、博物館で長蛇の列をなして拝観するほどの寺宝を、お寺で間近に観ることができるというまたとない機会。普段、あまりお寺に足を運ばないであろう子どもたちや家族連れで賑わうその姿に、新たなお寺のあり方を見出した気がします。
今後、どのようなお寺の姿を目指していきたいのか、住職に伺いました。
「“皆が集い、賑やかなお寺”を目指していきたいと考えています。目標とするところは“地域に開かれたお寺”“楽しみのあるお寺”ですね」(大洞住職)
お葬式や法事の時に関わるだけの存在ではなく、もっと身近で人々が集うコミュニティとしての場が、本来のお寺の姿なのかもしれません。このような展示会を通じて、お寺が長い歴史を受け継ぐ役割を担っていることを改めて感じ入りました。お寺には、私たちが知らないたくさんの魅力がまだまだ隠されている気がしました。
(取材部:小山)
町屋 光明寺(東京御廟・本館)
東京都荒川区荒川7-5-8
03-6806-5394