2019.02.12憂いのある美少年、阿修羅像に魅了される奈良・興福寺【山岡の仏像コラム】
永遠の美少年がいる興福寺をご紹介
仏像大好き山岡が語る、おすすめの仏像紹介コラム!
今回は、奈良の「興福寺」をご案内します。
仏像というと、若々しい姿のイメージがあまりないかもしれません。
でも、日本には “みずみずしくも憂いを帯びた美少年”と形容するのにふさわしい仏像がいるのです!
仏像好きの女性を魅了してやまないその姿は、きっとあなたの心にも刺さるはず。
今回は、そんな美少年の仏像がいる奈良の「興福寺」についてご案内します。
奈良のシンボルタワー・五重塔が目印
奈良駅から徒歩5分。
春日大社や東大寺にも歩いてすぐの場所にあるのが「興福寺」です。
まず目につくのは、奈良のシンボルタワーとしても知られる五重塔でしょう。
高さは51メートルあり、京都・東寺に次いで日本で2番目に高い塔で、国宝にも認定されています。
歩を進めると八角形の朱色が美しい南円堂が見えてきます。
平安時代前期に建てられたお堂で、その色鮮やかな姿に目を奪われます。
スタイル抜群!麗しの阿修羅像
日本国内における国宝の仏像の15パーセントもが興福寺の所蔵となっており、まさに国宝の宝庫と呼ぶにふさわしいお寺です。
その大半が五重塔の向かいにある国宝館に安置されており、一度に20以上もの国宝の仏像を拝見することができます。
http://www.kohfukuji.com/property/photo/index.html
中でも最も知名度が高く人気な仏像が、阿修羅像(あしゅらぞう)です。
三面六臂の美少年の仏像で、3つの顔と6つの腕が特徴的。
3つの顔は全てとてつもなく美しいのですが、それぞれ微妙に表情が違う。
右は幼少期の顔、左は思春期の顔、正面は青年期の顔とされています。
http://www.kohfukuji.com/property/photo/index.html
幼少期の表情はどこかあどけなさが残り、下唇をかみしめた表情が愛らしくもあります。
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眉をひそめた思春期の顔は、何か思うところがあるのでしょうか、心の中を逡巡しているような雰囲気。
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そして、青年期。
眉間に力を入れ、まっすぐ前を見据えるお顔は、迷いを断ち凛とした決意にみなぎるかのようです。
凛々しくも憂いを帯びたその表情は、まさしく美少年そのもの。
切れ長の瞳に、目の下をぷっくりと覆う涙袋。
ふくよかな頬は若々しく、きゅっと引き締めた唇は多くを語らない意志の強さを感じさせます。
阿修羅像はお顔がステキなのはもちろんのこと、スタイルも抜群なんです!
ほっそりとした身体にすらりと伸びる腕は、今はやりの細マッチョとでも言うのでしょうか、モテる体型です。ゆうに8頭身はあるんじゃないでしょうか。
6本の腕の配置も絶妙なバランスで、近くで拝んでも遠くから拝んでも飽きさせない美しさがあります。
うーん、美しい…!!!
個性豊かな国宝の仏像を楽しんで
興福寺は阿修羅像だけではありません。
個性豊かな美しい仏像がたくさんあります。
http://www.kohfukuji.com/property/photo/index.html
まず、特徴的な姿に思わず見入ってしまうのが、迦楼羅像(かるらぞう)です。
頭が鳥で、身体は人間。肩にスカーフを巻いた仏像で、コミカルな印象を受けつつもフォルムの美しさに感嘆してしまいますよ。
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タイプの違ったイケメン仏像として注目してほしいのが、畢婆迦羅像(ひばからぞう)です。
仏像には珍しく立派な髭をたくわえており、凛々しい眉と鋭い目つき、ニヒルな笑みに思わず心を打ちぬかれてしまうはず。
なんだか、EXILEのメンバーにいても違和感がないようなルックスですね。
http://www.kohfukuji.com/property/photo/index.html
五部浄像(ごぶじょうぞう)は、少し阿修羅像に雰囲気の似た胸像です。
頭に象の冠をかぶっており、ぷくぷくとした頬が愛らしく、どこか少年のような雰囲気をまとっています。
興福寺には数多くの国宝の仏像が展示されているので、仏像鑑賞をはじめるにはもってこいのお寺です。
2018年には国宝館がリニューアルオープンされたので、かつて訪問した方でも新たな発見があるかもしれません。
個性豊かな仏像たちの姿に、あなたも魅了されてみませんか?
今回紹介したお寺はこちら!
法相宗大本山 興福寺
奈良県奈良市登大路町48
アクセス:JR奈良駅徒歩5分、近鉄奈良駅すぐ
拝観料:700円(国宝館)
著者の紹介
恩送り取材部 山岡理帆
平成元年生まれの仏像好き。大学時代から国宝の仏像を観賞してまわり、気づけば西国三十三か所めぐりも制覇。好みの仏像は鎌倉時代製作のもの。