2018.10.29日本一のイケメン仏像!帝釈天に会える京都・東寺【山岡の仏像コラム】
イケメンの仏像!?東寺をご紹介
仏像大好き山岡が語る、おすすめの仏像紹介コラム!
今回は、京都の世界遺産「東寺」をご案内します。
皆さま、仏像にはどのようなイメージをお持ちでしょうか。
ふくよかな姿?荘厳な雰囲気?はたまた、どれも同じに見える?
実は、仏像にはそれぞれの姿や顔に個性があり、見る角度によっても表情が異なるほど本当に緻密で美しいものなんです。
今回は“日本一のイケメン仏像”が拝める京都の「東寺」についてご案内しましょう。
日光菩薩を真下から見上げて
京都駅から徒歩15分。
京都の中心からもほど近い場所にそびえたつのは、五重塔がシンボルの「東寺」です。
東寺真言宗の総本山であり、約1200年前、日本で最初に建てられた密教寺院。
かの有名な弘法大師・空海ゆかりのお寺として、日々多くの観光客が訪れています。
お寺の本堂である「金堂」には、ご本尊の薬師如来像(やくしにょらいぞう)が安置されており、向かって右に日光菩薩(にっこうぼさつ)、左に月光菩薩(がっこうぼさつ)が鎮座しています。
この仏像さまたちが、まぁなんと迫力のあること!
ゆうに10メートルに達する薬師如来さまと日光・月光菩薩さまは黄金色に輝き、私たちをあたたかい目で見守ってくださります。
出典:http://www.toji.or.jp/kondo.shtml
とくにおすすめの鑑賞ポイントが、日光菩薩さまの真下より少し左に立ち、お顔を見上げること。
雄大な仏さまを間近で見上げられるお寺はそう多くなく、珍しい光景を目にすることができるはずです。
そして、ここから見える日光菩薩さまの表情は非常に優しく麗しいのです。
どこか微笑みをたたえたような目元と口元は慈愛に満ちており、自分の心の内まで見透かされてしまうような感覚に。
このお姿を、数百年間に渡って人々が鑑賞し続けてきたと考えると、その雄大さに思わず目がくらんでしまいそうになりますね。
頑固おやじの不動明王
出典:https://daihonnzann-naritasann.jimdo.com/%E5%B9%B3%E5%92%8C%E5%A4%A7%E5%A1%94/
金堂の横には密教の中心的建物「講堂」があります。
弘法大師・空海が伝えたかった密教の教えを現した「立体曼荼羅」が安置されており、その中心にある大日如来(だいにちにょらい)は宇宙の中心とされています。
講堂の扉を開けると、その圧巻の光景にため息が出てしまうことでしょう。
五仏坐像、五大菩薩坐像、五大明王像、梵天坐像・帝釈天半跏像、四天王立像という、なんと21体もの仏像さまがお出迎えしてくださります。
しかも、その大半が国宝に指定されているんですよ。
一度にこれだけの国宝の仏像さまを観賞できるのは、東寺をおいて他にないでしょうね。
中でも注目していただきたいのが、中心よりやや左に位置する不動明王(ふどうみょうおう)です。
不動明王さまというと、恐ろしい顔をして睨みつけるようなお姿であるのが一般的なのですが、東寺のそれは少し違うのです。
出典:http://www.toji.or.jp/ten.shtml
左耳の前に編んだ髪を長くたらし、下唇をかみしめて目をぎょろりとさせているのですが、どこか優しそうな雰囲気。
なんだか、心の中は愛に満ち溢れた頑固おやじといった容貌です。
優しげな不動明王さまというのは全国探しても中々ないので、一見の価値ありです。
涼しげな目元が麗しいイケメン帝釈天
出典:http://www.toji.or.jp/ten.shtml
さて、この講堂には全国の仏女(ブツジョ)が愛してやまないイケメン仏像がいらっしゃいます。
それが帝釈天(たいしゃくてん)さまです!
講堂の出口付近に安置されている帝釈天さまは、白象の上で半跏踏み下げの姿勢をとっています。
切れ長で涼しげな目、すっと伸びる眉、筋の通った美しい鼻、そしてキュッと引き締められた凛々しい口元。
はぁ…美しい…!
帝釈天さまはどこから見ても完成されているのですが、とくにおすすめなのが向かって左斜めから鑑賞すること。
正面から拝見するよりも顔の立体感が引き立ち、もはや生きているのではないかと思ってしまうほどです。
夕日が差し込む時間帯であればなお良し。
陽の光が顔の陰影を際立たせ、アンニュイで物憂げな雰囲気に拍車がかかります。
もう、イケメンとしか言えないですよ。
東寺にはたくさんの仏像があり、鑑賞できる場所も広々ととられているので、ぜひ様々な立ち位置から仏さまの好きな表情を見つけてみてください。
正面から斜めから、立ったり座ったり。
仏像の豊かな表情に、きっと驚きを感じていただけるはずです。
今回紹介したお寺はこちら!
真言宗総本山 東寺 【教王護国寺】
京都市南区九条町1番地
アクセス:JR京都駅徒歩15分
拝観料:500円~
著者の紹介
恩送り取材部 山岡理帆
平成元年生まれの仏像好き。大学時代から国宝の仏像を観賞してまわり、気づけば西国三十三か所めぐりも制覇。好みの仏像は鎌倉時代製作のもの。