2019.03.26まるで仏像レンジャー!?十二神将に圧倒される奈良・新薬師寺【山岡の仏像コラム】

迫力の十二神将がいる新薬師寺をご紹介

仏像大好き山岡が語る、おすすめの仏像紹介コラム!
今回は、奈良の「新薬師寺」をご案内します。

仏像といえば、半眼で座禅を組んだ静謐な姿のイメージが強いもの。
ですが、まるで「仏像レンジャー」とも言える勇ましい姿に圧倒される仏像が存在します。
今回は、大迫力の十二神将が魅力的な奈良「新薬師寺」をご紹介します!

 

堂々とした天平建築が目印

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奈良駅からタクシーで5分。
春日大社の南に位置するのが「新薬師寺」です。

境内はコンパクトにまとまっており、なだらかな曲線が美しい堂々たる天平建築の本堂がお出迎えしてくれます。
奈良時代に創られた貴重な建物であり、当初は修法を行うためのお堂だったとか。
本堂向かって左側には小さくも荘厳な地蔵堂があり、右側には道場法師鬼退治でも名高い釣鐘があります。

 

薬師如来を取り囲む十二神将に圧倒!

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さて、本堂に足を踏み入れてみましょう。
するとどうでしょうか。大きな薬師如来(やくしにょらい)の周りを、立派な十二神将(じゅうにしんしょう)が取り囲んでいる姿が目に飛び込んできます。
それはまるで王を守る戦士たち、「仏像レンジャー」のよう!
それにしてもこの配置のバランス…完璧だと思いませんか?

十二神将とは、薬師如来とそれを信仰する人々を護衛する大将のこと。
1体につき7,000人の部下を率いる戦士です。
十二の方角を守っているため、干支の守護神としても知られています。

 

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とくに有名なのが「伐折羅(バサラ)大将」でしょう。
「戦国BASARA」っていうゲームで聞いたことのある方も多いはず。
炎のようにゴウゴウと逆立つ髪に、男らしい鼻梁。
目をカッと見開き睨みをきかせていますが、どこか静けさを感じる瞳です。
ちなみに、干支はいぬです。

新薬師寺の十二神将の何がすごいって、その全ての仏像が160cm前後と、リアルな人のサイズとほぼ同じだということ。
奈良時代の作品なので、当時の人たちの等身大とも言えるのではないでしょうか。
一般的に十二神将像は、薬師如来像の下にちょこっと彫られているケースが多いんです。
だから、新薬師寺の十二神将たちはまるで漫画の世界から飛び出してきたヒーローのように見えるんですね。
それだけに、昭和6年に補作された波夷羅(ハイラ)大将を除く11体が国宝に指定されています。

 

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個人的に超イケメンだと思うのが、「珊底羅(サンテラ)大将」。
髪を逆立て左手を腰にあてて、右手に鉾を持つ姿はいかにも勇ましい。
でも、口を引き締め眉間にグッとしわを寄せた瞳は、なぜか憂いにおびています。
誰かを護ることの責任感、戦の残酷さへの憂慮もしくは煩悶、そんな表情なのでしょうか。
一つの仏像から様々な物語を想像できてしまうのです。
干支はうま、ですね。

新薬師寺には十二神将の公式フィギュア(?)が販売されています!
1体あたり3,250円で、高さは20cmほど。
陶器製で味のある風貌になっていますので、お気に入りの仏像や自分の干支の仏像を買ってみてはいかがでしょうか。
ちなみに、私は珊底羅さんのフィギュアを買いましたよ!

 

今回紹介したお寺はこちら!

華厳宗 日輪山 新薬師寺
奈良県奈良市高畑町1352番地

アクセス:JR奈良駅、近鉄奈良駅からタクシーで約10分
拝観料:600円
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著者の紹介

恩送り取材部 山岡理帆
平成元年生まれの仏像好き。大学時代から国宝の仏像を観賞してまわり、気づけば西国三十三か所めぐりも制覇。好みの仏像は鎌倉時代製作のもの。