2019.09.06楽しいイベントを開催して、お寺を憩いの場に/瑞光寺・星野住職

 

神楽坂にもほど近い、都営大江戸線の牛込柳町駅すぐに位置する「瑞光寺」。近年の御朱印ブームの影響もあり、連日多くの人でにぎわっているお寺です。

そんな瑞光寺の28代目住職である星野顯聡(けんそう)住職は、今後のお寺がどうあるべきかを日々考えて、様々なイベントを実施しています。今回は、地域と交流することの大切さやお寺のあり方について、お話を伺いました。

 

地域に大切にされてきた恩返しを

「地域の皆さんや子どもたちが気軽に足を運べるお寺になるように、様々なイベントを開催しています」

 

 

―お寺で様々なイベントを実施していると伺いましたが、どのようなことをされているのでしょうか。

 

お祭りやジャズコンサート、終活セミナー、子ども英語教室など、地域の人々や子どもたちが楽しんで参加できるイベントを実施しています。手作りワークショップや縁日、餅つき大会などを実施したオリジナルイベント「小江戸シャカシャカ祭り」は、2017年には250人以上、2018年には500人以上の方々にお越しいただきました。

2017年からは、全国の小中学生を対象にした作文コンテスト「夢さがし作文大賞」のプロジェクトチームの一員として活動しています。将来の夢や未来の日本など、夢をテーマにした作文を多数応募いただいています。夢を持てない子どもたちが多いと言われている今の時代は、小さなことでも目標を見つけることが大切だと思います。それがいつか、大きな夢や目標につながっていくはずで、その橋渡しになれればと考えております。

 

―地域に根差した幅広い活動をされているのですね。

 

仏教に興味のある男女が集まる合コンイベントも開催しましたよ(笑)。蒔絵体験をした後に、皆で飲み会をして大いに盛り上がりました。その他にも、介護がテーマの舞台を瑞光寺で開催しました。全4公演とも満員御礼で、約800人の方々に来場いただけました。私もお坊さん役として出演しましたが、20代から80代まで幅広い年齢層の方に楽しんでいただけたので良かったです。

 

―なぜ、それだけ色々なイベントをお寺で実施されているのでしょうか。

 

瑞光寺は1595年、安土桃山時代の終わりに創建されました。これだけの歴史があるお寺というのは、ずっと地域で大切にされてきたということです。恩返しという訳ではないですが、地域の人が癒されるイベントを開催することで、憩いの場として皆さんに集まってもらえるようになればと思っています。

また、お寺の存続を考えた時に、子どもたちとの接点を持つことが大切だと思っているんです。高齢の方々とは今までのお付き合いや法要などで接点がありますが、子どもたちは中々お寺に来ることがありませんよね。お祭りや子ども英語教室などで、子どもたちに気軽にお寺へ足を運んでもらって、「お寺っていいな」と思ってもらえればと考えています。

 

 

―お墓も様々な形のものを提供されているそうですね。

 

一般的なお墓の他に、花壇型の樹木葬を提供しています。子どもがいない方や、子どもや跡継ぎに迷惑をかけたくないと考えられている方など、お墓について悩みを抱えている方は大勢いらっしゃいます。そういった方々に、お墓の片付けがいらない埋葬の形を提案しています。

法要や法事も決して形にとらわれなくていいと思っています。法要や法事はご先祖さまに感謝の気持ちを伝える機会ではあるのですが、その気持ちがあればそれで充分なんです。ご先祖さまやお世話になっている方に、心の中でお礼を言うだけでも心は安らぐものですよ。

 

―確かに、法要や法事も大切ですが日頃の感謝が何よりも大切かもしれません。

 

そうですね。ただ、法要も本当は素晴らしいものなんだということを知っていただきたいとも思います。普通は、正座して良く分からないお経を聞かされる…というイメージかもしれませんが、日蓮宗では法要を芸術の一部として考えています。法要の空間やお経のハーモニーなど、何か感動してもらって、仏さまと通じてもらえると嬉しいですね。

 

 

―今後の目標について教えてください。

 

地域の人たちが楽しめるイベントをさらに盛り上げていきたいですね。そして、来ていただいた方々が穏やかな気持ちになってもらえるようにしたいです。

「普段できないことをお寺で経験してほしい」「子どものころからお寺との縁を結んでほしい」。そんな思いを持って、これからも活動を続けたいと思います。

 

今回取材したお寺はこちら!

蓮紹山 瑞光寺

東京都新宿区原町2丁目34

03-3357-0246