2019.07.02繊細な表情に魅了されて。女優のように美しい仏様がいる奈良・海龍王寺【山岡の仏像コラム】
仏像大好き山岡が語る、おすすめの仏像紹介コラム!
今回は、奈良の「海龍王寺」をご案内します。
仏像といえば男性的な雰囲気の見た目をしているものが一般的です。
でも、中には美しく華やかな女性的な雰囲気をまとう仏様もいらっしゃいます。
今回は、美しさに思わず目を奪われる十一面観音像がいる奈良「海龍王寺」をご紹介します!
堂々とした天平建築が目印
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E9%BE%8D%E7%8E%8B%E5%AF%BA
奈良駅からバスで約15分。
平城宮跡の東北に位置するのが「海龍王寺」です。
雪柳が有名なこのお寺は、こじんまりとしながらも開放的な空間で、訪れる者をほっと癒してくれる佇まい。
西金堂は奈良時代に建造された貴重な建物で、当時の職人の手によって作られた4.1メートルの五重小塔が見所です。
五重塔のミニチュア版と言うには憚れる圧倒的な存在感と精巧な造りに、職人たちの技術力のすばらしさを感じます。
色鮮やかな秘仏に目を奪われる
海龍王寺のご本尊は、鎌倉時代に造立された十一面観音様。
昭和28年までは秘仏として人の目にさらされず安置されており、現在でも春と秋の期間限定での特別開帳となっているので、保存状態が非常に優れている点が特徴的です。
http://www.kairyuouji.jp/treasure/index.html
さて、十一面観音様をご覧ください。
すっと通った涼しげな鼻筋に、深紅の紅をひいた小ぶりな唇。
眉は弓なりに弧を描き、華やかな装身具をたくさん身につけられているそのお姿は、まさしく「華麗」という言葉がぴったりです。
http://www.kairyuouji.jp/treasure/index.html
像高は約1メートルととても小柄。
右手はしなやかに優しく前を向けられており、ゆるやかにひねられた腰はどこか色気を帯びています。
朱・丹・緑青・群青などで彩られた衣装とあいまって、まるで女優さんのような美しさに思わず息をのんでしまいます。
光明皇后が自ら刻まれた十一面観音様を元に、慶派の仏師によって造立されたと言われるこの仏様。
だからこそ、どこか女性的な雰囲気をまとっているのかもしれません。
大きく立派な仏様の力強さも魅力的ですが、海龍王寺の十一面観音様のような華麗な美しさも、また仏像の魅力の一面です。
日本には、国宝に指定されている仏像だけでも136体もいらっしゃいます。
その多くが京都と奈良に集中していますので、関西へ足を運ばれる際は自分好みの仏像を探してみてはいかがでしょうか。
今回紹介したお寺はこちら!
海龍王寺
奈良市法華寺北町897
アクセス:JR奈良駅・近鉄奈良駅から、西大寺駅行バスか航空自衛隊前行バスで14分、「法華寺前」下車徒歩1分。もしくは、近鉄大和西大寺駅からJR奈良駅行バス10分「法華寺前」下車徒歩1分
拝観料:500円(特別公開時:600円)
特別公開期間:毎年3~5月頃、10~11月頃
http://www.kairyuouji.jp/index.html
著者の紹介
恩送り取材部 山岡理帆
平成元年生まれの仏像好き。大学時代から国宝の仏像を観賞してまわり、気づけば西国三十三か所めぐりも制覇。好みの仏像は鎌倉時代製作のもの。