2019.08.04まるで仏像の美術館!6体の国宝に出会える奈良・唐招提寺【山岡の仏像コラム】
仏像のトルソーが美しい唐招提寺をご紹介
仏像大好き山岡が語る、おすすめの仏像紹介コラム!
今回は、奈良の「唐招提寺」をご案内します。
奈良には75体の国宝の仏像がいらっしゃいますが、その内6体に出会えるのが唐招提寺です。
国宝に指定されていない仏像にも見所が多く、本当に千本の手を持つ千手観音様や、西洋美術のような仏像のトルソーなどを拝観することができます。
そんな「唐招提寺」の仏像の魅力をご紹介しましょう。
天平文化を代表する建築物たち
近鉄西ノ京駅から徒歩で約10分。
平城京跡の南西に位置するのが「唐招提寺」です。
奈良時代、かの有名な鑑真によって建立された唐招提寺は、中国・唐の影響を受けた堂々たる佇まいが魅力。
特に、8本の柱による光と影の美しいコントラストが目を引く金堂は、天平文化を代表する美しさを誇ります。
その柱は中央部が上下に比べてわずかに膨らんでおり、これはギリシアやローマの神殿の柱と同じ造りなのです。
唐からの伝来なのか、日本で考えられたものなのかは判明していませんが、当時の職人たちの建築美へのこだわりが垣間見えます。
講堂は平城宮の東朝集殿が移されたもので、唯一現存する平城宮の建物とされています。
時代の先駆けとなる革新的な仏像
https://toshodaiji.jp/about_shinhouzoh.html
新宝蔵にある薬師如来立像は、鑑真に随行した渡来仏師が造立したとされています。
頭部の螺髪と両手が失われているものの、おおらかで、なだらかで、風格のあるその姿は、見るものの心を穏やかにします。
奈良時代の仏像の中では下半身がどっしりとしており、重量感のある雰囲気となっています。
これは後に続く平安時代の仏像の特徴であるため、時代の先駆けとなった仏像として美術史的にも高く評価されているようです。
巨大な仏像3人組のある金堂
8本の柱が特徴の金堂には、3メートルや5メートル級の巨大な国宝の仏像が3体祀られています。
https://toshodaiji.jp/about_kondoh.html
金堂中央に安置される廬舎那仏像は、全長5.15メートルという巨象。
背後の光背には、1,000体近い小さな化仏様がいらっしゃいます。
もはや気が遠くなってしまうほど細やかな職人の仕事に、頭が下がる想いです。
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薬師如来立像は向かって右。その高さは3.36メートルを誇ります。
伏し目がちな優しい目は、天から私たちのことを見守ってくれているかのようです。
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向かって左の千手観音菩薩立像も、5.36メートルと巨大です。
実際に千本の手を持つ千手観音様は、まさしく圧巻。
これだけ手が密集しているのに、全く違和感がなく、絶妙なバランスで美しく配置されています。
目元も涼しげですっきりとしたお顔立ち。いつまでも眺めていたくなる仏像です。
唐招提寺のトルソーは必見
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新宝蔵に祀られる如来形立像は、頭部と両手を失っている仏像です。
その珍しくも美しい造形から「唐招提寺のトルソー」と呼ばれ、多くの芸術・仏像愛好家たちに愛されています。
独特の滑らかな曲線美に彩られた姿から、どのようなお顔であったのか、想像を膨らまさざるを得ません。
特筆すべきなのが、流麗かつハリのある太もも。
なぜか視覚だけで触覚まで想像できてしまうのです。
きっと手を触れると、内側からエネルギーを感じるパンッとした手触りなのでしょう。
…と、個人的には思っています。
唐招提寺は、歴史の教科書にも必ず出てくる有名なお寺です。
仏像以外の仏教美術品も数多くあり、日本の歴史や文化を感じられる貴重な場所となっています。
奈良を散策する際は、ぜひとも唐招提寺に足を運んでみてください。
今回紹介したお寺はこちら!
唐招提寺
奈良市五条町13-46
アクセス:近鉄西ノ京駅から徒歩約10分
拝観料:600円
著者の紹介
恩送り取材部 山岡理帆
平成元年生まれの仏像好き。大学時代から国宝の仏像を観賞してまわり、気づけば西国三十三か所めぐりも制覇。好みの仏像は鎌倉時代製作のもの。