2018.09.17八街少年院の取り組み

ドロップアウトした少年たちが、捨てられた犬を訓練することで成長していく、
八街少年院の取り組み

犬を救う過程を少年たちが担う。そして、社会復帰のきっかけになる新たな取り組み。

お時間あれば、ご一読ください。

八街少年院でスタートしたGMaC(ジーマック)と呼ばれるプログラム。社会からドロップアウトした少年たちと、動物愛護センターなどに保護された「保護犬」が、3ヵ月の訓練をとおしてともに成長していく姿を追う―。

2014年7月、千葉県の八街少年院で、「GMaC(ジーマック)」と呼ばれる画期的な取り組みがスタートした。
Give Me a Chance(ギヴ・ミー・ア・チャンス=ぼくにチャンスを)から名付けられたそのプログラムでは、非行をして少年院に送られた少年たちが、動物愛護センターなどに保護された「保護犬」を3ヵ月にわたって訓練する。少年たちによって「家庭犬」となるための基本的な訓練を受けた犬たちは、訓練を終了した後、希望する家庭に引き取られていく。

 

GMaCは、犬や猫の社会的殺処分ゼロをめざす公益財団法人ヒューマニン財団と八街少年院の協働でおこなわれている。捨てられた犬たちを救うこと、そして、犬を救う過程を少年たちに担ってもらうことで、彼らに社会復帰のきっかけをつかんでもらいたい――そんな願いを込めて創られたプログラムなのだ。
第一期には3人の少年が参加した。そのひとり、リョウ(仮名)は18歳のときに振り込め詐欺グループに加わり、だまし取った金を持ち逃げした者たちを追いかけて暴行するなどし、八街少年院に来ることになった。
それまで人を信頼できず、心を開かなかったリョウだが、担当犬のロンを訓練するうちに、「犬には心を開ける」と話すようになった。

 

「たいていの人って本音言わないじゃないですか。でも、犬って全部出してくれるじゃないですか、偽りなく。だから受け入れられる」
当初は感情を見せず、石のように無表情だったリョウも、3ヵ月のプログラムが終わる頃には、見ちがえるほど素直な表情を見せるようになった。ロンとの訓練の日々を経て、リョウが大きく変わっていく姿からは、閉ざされた心を開く犬の力を感じさせられる。
八街少年院を出院したリョウはその後、自分の会社を立ち上げて、少年院や刑務所を出た人たちの社会復帰を応援する「協力雇用主」になっている。

 

犬との触れ合いをつうじて、一度は社会からドロップアウトした少年たちが成長していく過程を綴ったノンフィクション『ギヴ・ミー・ア・チャンス 犬と少年の再出発』(大塚敦子/著)が、9月15日、講談社より発売される。 株式会社 講談社

ギヴ・ミー・ア・チャンス 犬と少年の再出発
大塚敦子/著
定価:本体1300円(税別)