2018.10.18薬物依存の怖さ 映画に
▽少しでもみんなにに知ってほしいという
その思いの強さが一人でも多くの人へと伝わりますように・・・
志木市在住の俳優 内谷 正文さん(48)が、薬物依存だった弟の看病体験を基に、依存症の恐ろしさを描いた映画「まっ白の闇」を制作した。11月からの一般公開を前に、薬物依存症の家族らの団体などに先行公開している。内谷さんは「依存症は完治しない病気だが、回復はできると伝えたい」と話す。
内谷さんは高校生の頃、暴走族をつくり、シンナーや大麻に手を出し、やがて3歳年下の弟にも勧めた。内谷さんはその後、22歳で文学座の研究所に入り、都内で俳優活動をしていたが、30歳の頃、地元の志木市にいる弟の様子がおかしいと後輩から聞いた。
幻覚や幻聴などの症状から、覚醒剤にはまったと気づいた。最初に薬物を勧めたのは自分だったため、責任を感じ、俳優を辞めて看病に専念。だが症状がどんどん悪化し、これ以上苦しんでいる様子を見たくないと、警察を呼んだ。
弟は尿検査で陽性反応が出ず、薬物の所持もしていなかったため逮捕はできなかった。病院に入院させても回復せず、薬物依存症の回復支援施設「ダルク」に約1年半入所させ、薬物依存から脱却した。
内谷さんは薬物の恐ろしさを伝えたいと、弟との実体験を生々しく再現した一人芝居の公演を2005年から開始。この芝居を基に、脚本を書き、監督を務めて映画を制作した。
ベテラン俳優の村田雄浩さんのほか、約40人の俳優仲間が出演。地元・志木市などの仲間ら200人以上がエキストラとして出演したほか、撮影の際、ダルクが施設を貸したり、実感を持ってもらおうと家族会が体験を語ったりした。映画は芸術の振興を後押しする民間団体「日本芸術センター」の映像グランプリで昨年11月、最優秀賞にあたるグランプリに選ばれた。
11月3日から東京・新宿の映画館で、10日から吉祥寺の映画館で一般公開される。現在、薬物依存者の家族の団体などを対象に先行上映会を開催している。先行上映で観賞した千葉県市原市の女性看護師(59)は「依存症という病気を前に、家族は無力だということが描かれていた。薬物依存は病気でもあることが、認知されてほしい」と話した。
YOMIURI ONLINE より