2019.02.01ネコ殺処分減にふるさと納税 和歌山に全国から1800万円
和歌山で、ふるさと納税を活用し殺処分を減らすために新設する動物愛護センターへの寄付金を募集したところ、通常のふるさと納税とは違い返礼品がないにもかかわらず、全国から1800万円の寄付が集まったそうです。
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参照元:ヤフーニュース 産経新聞 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190124-00000549-san-soci
和歌山県でネコといえば、和歌山電鉄貴志川線のネコ駅長がよく知られている。しかし実は、飼い手がなく殺処分されるネコの数は全国3位(平成29年度)と多い。そこで殺処分を少しでも減らそうと和歌山市が「ふるさと納税」を活用し、来秋完成する動物愛護センターへの寄付を呼びかけたところ、あっという間に全国から1800万円が寄せられた。予想外の反響に市もびっくり。寄付金は去勢手術に必要な装置購入費などに充てるという。(岩本開智)
全国ワースト3環境省によると、29年度のネコの殺処分数は全国で3万4854匹。都道府県別では、和歌山県は1786匹で長崎県(2588匹)、福島県(2368匹)に次いで3番目に多い。
そこで和歌山市は、ネコなどを保護し、飼い主を探して引き渡す目的で動物愛護センターの建設を計画している。敷地面積1683平方メートルの鉄筋平屋建ての施設で、建設費として30年度予算に約2億3313万円を計上し、今年10月ごろの完成を目指す。
施設にはネコやイヌの収容施設をはじめ、診察室や去勢のための手術室のほか、自由に走り回ることのできる「ドッグラン」なども設ける。
手術などに必要な麻酔装置や心電図モニターなどは、それぞれ200~300万円と高額なため、市は寄付を募ることにした。
GCFの手法に着目その際、ふるさと納税を活用して全国から寄付を集める「ガバメント・クラウド・ファンディング(GCF)」の手法に着目。動物愛護を目的に神奈川県や広島県神石高原町などが取り組んでいる手法で、和歌山市は昨年5月からふるさと納税の総合サイト「ふるさとチョイス」を通じて寄付を呼びかけた。
受付期間は12月末まで。通常のふるさと納税と異なり返礼品はないにもかかわらず、千人以上から寄付が続々と集まり、期限まで1カ月以上を残した11月27日に目標額を達成することができた。
近年の全国的な殺処分ゼロ運動の盛り上がりやネコブームなどもあり、大きな反響を呼んだようで、クラウドファンディングのサイトには寄付した人から次のようなコメントも寄せられた。
「ネコの不妊手術のプロジェクトを立ち上げてくれて感謝している。(和歌山市が)動物に優しい街に変わることができてうれしい」 「和歌山市のネコに役立つこと、またこの活動が日本全国に広がっていくことを願っています」 「近い将来、イヌやネコの『殺処分ゼロ』が当たり前の世の中になり、人間と幸せに共存できる社会になることを心から祈っている」市保健所動物保健班の広岡貴之班長は「全国的な動物に対する愛情の表れ。市としては初めての試みで、正直(これほど)集まると思っていなかった。殺処分の問題を真剣に受け止めてくれた証し。心が引き締まる思いです」と感謝する。
市によると、市の保健所ではネコを最大12匹しか保護できないが、センターが完成すれば50匹まで収容可能になり、引き取ってもらえる人を探す期間も長くなるという。
寄付を活用して手術の設備などが整備されると、これまでできなかった去勢手術や感染症など病気への治療が実施できる。譲渡される飼い手の金銭的負担が減少するほか、去勢手術でネコの性格が穏やかになり、飼い手も探しやすくなるという。
民間団体も期待
市のこうした対応には、殺処分減を目指す民間団体も期待を寄せる。昨年、市保健所から20匹近くを引き取り保護してきた市内のボランティア団体「城下町にゃんこの会」は、これまで去勢手術のため大阪から病院関係者を招くなどし、負担も大きかったという。
代表の奥康子さん(56)は「昨年は手術や病気の治療で70万円近くかかった。その負担が軽減されると非常に助かる」と話す。
市は今後7年間にネコとイヌ合わせて毎年140匹以上の譲渡を目標にしており、広岡班長は「(保護ネコを飼い手に紹介する)譲渡会の回数を月1回から増やすなどし、殺処分ゼロに向けて努力したい」と話している。