2018.11.15子ども食堂を全小学区で!? 兵庫・明石
▽テレビや町中の掲示板などでも「子ども食堂」という言葉を目にすることが増えてきました。
自治体協力のもとで進む、「子ども食堂 」。地域の子どもは、地域で守る。
行政が主導する子ども食堂のニュースです!
子ども食堂を全小学校区で展開 自治体ぐるみで実現、兵庫・明石
子どもの貧困対策や地域交流の促進などを目的に、「子ども食堂」が全国各地に広がっている。明石市では、市が運営資金を助成する財団を立ち上げて設置を支援し、全28小学校区に38カ所の子ども食堂ができた。行政が主導し、全小学校区にそろうのは全国でも珍しいという。明石の子ども食堂を訪ねると多様な展開が垣間見えた。(勝浦美香)
「子ども食堂」という名称は2012年ごろから使われ始めたといい、子どもの貧困対策として注目を集め、支援団体による今年の調査では全国に約2300カ所あった。
来春に児童相談所を開設する明石市は、子どもを取り巻く問題への「気づきの拠点」にしようと、16年から全小学校区での展開を目標に設置を支援している。今年5月に「あかしこども財団」を設立。運営団体に対し年70万円を上限に食材や備品などの費用を助成する一方、公民館などの積極活用を進めた。結果、16年3カ所だったのが今年11月には38カ所にまで広まった。
少子高齢化の進む市西部の高丘東小校区の「あいあいてーぶる」は月1回、県営住宅の集会所でモーニングを提供する。元々あった高齢者の朝食サービスにヒントを得て始めたといい、高齢者も利用できる。サンドイッチやバナナを食べながら会話を楽しむのが人気で、10月は50人近くが参加した。「子どもの母親からも喜ばれている」と代表の牧山栄子さん(78)。
高丘西小校区の「にこにこてーぶる」は食事を提供しないカフェ形式だ。高齢者や保護者がスタッフとなって見守る中、子どもたちはお菓子を食べたり、ゲームをしたり。代表の松尾一範さん(71)は「多世代が集まりやすい時間に企画している」と話す。「二見北こどもカフェ」は放課後から夕食までの時間帯に開く。調理や後片付けに時間がかからない分、子どもたちとの会話も増えるという。
貧困問題と向き合う子ども食堂もある。西明石地区にある2カ所は食事を提供するほか、定期的に家族の様子を尋ねるなどしている。運営する「こどもサポート財団」によると、夜遅くまで公園で遊んでいる、洋服がいつも汚れているといった状況から貧困や育児放棄(ネグレクト)を把握し、市の担当課につなげたという。小谷公仁子事務局長は「子ども食堂にできることには限界があるが、子どもが抱える問題に気づき、適切な支援につなげたい」と話す。
あかしこども財団事務局の東瀬戸洋志課長は「運営を継続していく中で地域性に合わせて発展し、地域に受け入れられる場所になってほしい」と語った。