2018.11.12『 自筆証書遺言 』 ~法改正により変わる書き方!?~

▽このような記事を目にしました。 自分の為に、家族の為へと、法改正によってこれからの遺言の在り方はどのように変わっていくのでしょうか?



 ◆変わる「自筆証書遺言」 正しい書き方を弁護士アドバイス

 

 

 

 

 

 

 

 

【40年ぶり大改正 新相続はどうなる】

「終活」の際に真っ先に取り組まなければならないのが遺言の作成だ。あとに残される家族に、どんな未来を残したいか。その道筋をつけておくことは、先に逝く人の使命だろう。今回の法改正では、ここも大きく変わる。自筆証書遺言の方式が緩和されたのだ。

一般的に行われている「普通方式遺言」には、遺言者がすべて自分で書いて判を押す「自筆証書遺言」と、公証人が作成し公証役場で保管してもらう「公正証書遺言」、遺言者が手書きで作成し封をした状態で公証役場に持ち込み保管してもらう「秘密証書遺言」の3つがある。

 このうち最もポピュラーなのが公正証書遺言だ。作成件数は昨年1年間で11万191件に上る。一方の自筆証書遺言は、その2割にも満たない。司法統計によると、自筆証書遺言の際に必要になる家庭裁判所での検認件数は1万8914件(2017年)だ。

 自筆遺言が敬遠される最大の理由は、すべて自分で手書きしなければならないことにあった。マンションの地番も銀行の口座番号も田舎に残っている土地も、せっせと書いておかなければならない。ちょっとでも書き損じればアウト。書き直したり、押印による修正が必要で、形式通りでなければ無効とされた。

 改正法では、財産目録を別紙として添付する形にすれば、遺言書の本文を除き、パソコンによる作成でOKとした。不動産の所在地や地番など登記に関わる書類、預金通帳のコピーも添付できる。手書きの書類が大幅に削減できるのだ。作成した自筆証書遺言を法務局に保管できるところも変わったポイント。これなら紛失の恐れがないし、日付の誤りや署名・押印の漏れなどもチェックしてもらえる。申請できるのは遺言者だけで、その場で本人確認も行われるから、のちのち遺言の有効性が疑われる事態も減らせそうだ。

 3つ目のポイントは、前出の家裁での検認がいらなくなること。これまでは遺言者や相続人全員の戸籍謄本などを用意した上で申立書を作成し家裁に提出、決められた期日に遺言書を持参して、相続人の立ち会いのもと内容を確認する必要があった。これが不要になるので、どんどん相続を進めていけるようになる。

 



■解釈の余地を残さない

 使い勝手がよくなるのは確かで、自筆で遺言を残す人は増えるだろう。ただし、ツボをちゃんと押さえておかなければダメ。中島章智弁護士は、こうアドバイスする。

「法務局がチェックするのは形式に誤りがないかで、内容については踏み込まないと思います。そのため、書き方によっては、相続人間でもめる可能性も残ってしまう。たとえば『長男と長女に実家を半分ずつ与える』という文言では、家屋と土地も含むのか、共同名義にしろというのか売って半分ずつにしろということなのか、判別がつきにくい。相続で紛争を招くのは、遺言者の話を聞けないからです。解釈の余地が残った遺言は争いのもと。手書きの必要がなくなっても、どのように書けば誤解を与えないか、勉強する必要があるでしょうね」


 公証人に遺言を作成してもらう手数料は、遺産額が5000万~1億円で4万3000円。3000万円以下なら2万3000円だ。それほど高い金額ではない。

「自分の死後に家族の間でもめないためには、やはり公証人に任せた方が安心です。保険料と割り切れば、手数料も許容できる範囲でしょう」(中島弁護士)

 まずは自筆で作成し折々に書き直し、いよいよというときに公証役場の世話になる――そんな残し方もありだろう。

 日刊ゲンダイDIGITALより

 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/241368